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先日どこかのサイトで年俸制について書かれている記事を読みました。
年俸制は成果に対しての報酬制度であるので働く上での本当の姿である。
時間を費やせば給与が出る時間制で働くのではなく成果で評価される人間になろうと言う内容でした。
内容には賛成なのですが、筆者の方が本当に言わんとしているところを上手く伝えらていなかった感じの記事でしたので私の考えを書いてみます。
年俸制・月給制・日給制・時給制の違い
世間では一時大企業がしきりに年俸制と言う言葉を使用したり、有名な外資系企業が年俸制を採用していることから、何か大きな特殊な違いがあると誤解されていますがその理解は本来正しくはありません。
基本的な法律の縛りは同じです。
違いは
- 1年単位
- 月単位
- 一日単位
- 時間単位
のどれで給与が決められているかどうかと言う事だけです(と言う理解で大まかに正しいと言えます)
年俸制の会社は残業が付かないや、ボーナスが出ないなどは大きな誤解です。
もしそれを口実に支払いを渋っている会社があればブラックあるいはグレーな企業の可能性があります。少なくとも社員に対して正しく説明できていないと言えます。
それらはどの単位で給与を決定するかどうかと全く関係がありません。
当然年俸制の場合も残業は支払われます。
ボーナスを出す出さないは制度とは関係なく企業の方針の問題です。
また、
年俸制=給与が高い
年俸制=成果主義
も間違いです。
どの期間で給与を決定しても上記のことは起こります。
誤解の大元
これは成果を重視して給与や昇進・配属を決定している企業が“年俸制”を導入している場合が多いから起こっていると言えます。
また年俸制で働く一部の社員が高額な給与を取っていると言うこと(現実ですが)がインパクトのあるニュースとして伝わるからです。
結果で判断され、”年俸”が決定するプロスポーツの世界が”年俸制”だからです。
本来の年俸制で言わんとすることの正しい理解
それらに基づき上記の事を正しく表現すると以下の様になります。
- 年功序列型よりも結果を重視する人事システム=“成果主義”を取り入れる企業の場合
- その企業は個人の成果を短期間で判定するのは困難かつ煩雑さが増すので評価の期間を企業の会計と同じく1年とする
- その結果、1年ごとの評価に基づく給与査定となる
- そして、給与は必然的に1年ごとに決定される
- 結果年俸制となる
が正しい表現であり。理解です。
ですので、世間で言うところの年俸制と言うのは多くの場合
“成果主義“の事を指していると理解できます。
年俸制だからでなく成果主義だからと考えると世間の理解はしっくりきます。
実際の支払われ方
年俸制であっても、実際に支払いは12で割って毎月均等に支払われている場合がほとんどです。
プロ野球選手も同じだと聞きます。
ボーナスについては含んでも含まなくとも良いのですが、本来の意味のボーナスであればこの年俸とは別に査定結果により上乗せされることになります。
プロ野球の場合も首位打者を取ったり、ホームラン王を取ったりなどで年俸に加え金額が上乗せされます。これはボーナスと言えます。
企業はこのボーナスの支払いを予期し、年俸を設定することになります。
また、年俸を12か月で割るのでなく、例えば18で割り、年2回(6月と12月等に)、各3か月分を上乗せしボーナスと称する企業も多くあります。
本来ボーナスはその年度の個人の評価に則り金額が左右されるものであるべきなのでこの場合は正確にはボーナスと言うよりもボーナス気分と言うのが実際のところです。
年俸制のメリット
主に以下が良いところと言えます。
- 成果主義を取り入れやすい
- 社員が1年間の収入を計算できることにより安心感を持って職務に専念できる(月給制などは理論上来月減る可能性があります)
- 同じく企業としても給与にまつわるコスト管理がしやすい
幾つかありますが、何といっても1の成果主義を取り入れやすいことが一番大きなメリットだと言えます。
実際に完全な歩合制の様な場合を除き月給制や日給制では成果主義の導入は困難です。
2については月給制であっても通常来月の給料が上がる下がると心配しながら仕事をしている人はあまりいないと言えるので大きなメリットとは言えません。実際にその様なハンドリングは企業としても多大な作業とその実施に余分なコストがかかることになります。
年俸制のデメリット
一方デメリットも考えられます。
- 翌年度の給与の増減額が大きくなる場合がある
- 年俸額決定の際に社員と企業の間でのトラブルが起こる可能性がある
年俸制の場合どうしても、背景に成果主義と言うのが入るので、本年度の結果により給与が月給制に比べ大きく下がる可能性があります。もちろん反面大きく上がる可能性もあるのですが。
同じく、評価とは別に具体的な金額で社員と企業との間で合意に達しない場合にモチベーションの低下や場合によっては訴訟等のリスクがあるのも事実です。
年俸制を取り入れる場合
年俸制を取り入れる場合は
給与額の決定を1年ごととすることにシフトするのが重要なのではなく、
給与額の決定をどの様にして行うかの決定を最重要かつ基本的な事項として認識し、
社員と共有することが重要です。
先にも書きましたが、年俸を12か月で割って支払っている限り社員は月給制と何ら感覚的違いはありません。
1年間(12か月間)給与額を変更できないことについても月給制の会社で毎月給与を会社の業績や個人の評価などによって変更している会社はまずありません。
給与額決定の対象期間の違い・支払いの違いではなく、
年俸制導入 = 成果主義の導入に伴う給与決定と支払いのシステムの結果
と考えるのが一番正しいと言えます。
そして成果主義導入の作業は考えているよりも多くなるのでその導入は慎重に行う必要があります。
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