<ビジネスコンサルティイング ロング ラスティング ライン 3L が分かりやすく解説します>
多くの場合消費者向けの商品やサービスを販売している物販店はやがて“直営店”を持ちたいと思うようになりますよね。ここで言う直営店とは100%自社経営の店と言う意味です。 百貨店等の中の自社のブランドショップ(インショップ)は除きます。
何故持ちたいのか?
- 自社で全てをコントロールしたいから。店の規模・デザイン、お客様へのサービス内容、在庫額、スタッフの採用・教育、お客様向けサービス、VMD等全てが自社の思うがままにできます。“卸し“にありがちなバリア・規制がありせん。見かけは直営と同じインショップであっても仕入れ予算があるのでこちらの思う時に思うだけの在庫を持ったり、VMD/展開することは困難です。
- 利益が大きいから
この二つが大きなメリットですね。
一方デメリットは何があるでしょうか?
- まず、資金。通常卸しで展開するよりも多額の資金が必生です。 ショップのデザイン、制作、敷金・保証金。もちろん家賃。 卸しではかからない費用が多くかかります。
- 物件探し。多くの場合自社店舗の成功の是非にかかわってくるのはこの部分です。間違ったとしてもすぐに店仕舞いと言う訳にはいきません。卸しの場合はすでにそれをクリアした販売先での展開と言うのが普通ですからこの部分のリスクはかなり低減されると言えます。
- システムの開発費・オペレーション費。 例えばレジ一つ、カード会社との契約なども卸では得意先のものを利用できるところ全て自社開発が必要となります。
それらのデメリットを押してでも直営店を持つと良い場合、あるいはメリットを享受できる場合とはどんな場合でしょうか?
一つ目は、卸しで入る(インショップ、ショップインショップ含む)よりも家賃が安くなる場合。一定以上に売り上げが取れる場合。当然ですよね。ここが読めずにあるいは計画通り行かない場合大変な目に合うことになります。卸しの場合は通常売り上げに対しての仕入れ価格がXXX%だ(掛け率)と言う風に契約しているので売り上げに比例して“家賃“(に相当する分)が上がりますが、直営店の家賃は一定ですね。売れれば売れるほど家賃比率は低くなり利益はどんどん上がります。
二つ目が、卸しではやはり自社の思った通りのサービスや商品展開ができなくそれがビジネス伸長のバリアとなっている場合です。集客の高い得意先ではあるが自社に与えられた場所や広さが自分達のやりたいイメージ作りやサービスの提供をするのに不十分な場合や卸し先のルールで自社の望む展開ができないことが問題となっている場合です。一部のスーパーブランドを除き中々自社の理想の展開ができる場所や許可をもらえないのが普通ですね。こんな場合直営店でしか目的は達成しにくいですね。
三つ目。自社ブランドの世界観の伝達を重要視している場合。これをあまり重要視していない企業が多いと感じるのですが、自社の理想のサービス、世界観、商品展開を提供できる店を持ち世の中に宣伝することは想像以上に他の全ての販売先に良い影響を与えることになります。ネットでの販売においてでもですね。ブランディング、ブランドエクイティーの向上、認知率のアップ等マーケティング上非常に有効な手段となります。
品質だけでなく、店頭で人を通じてのサービス、その商品・ブランドも持つこと、使用することの満足感を与えることが戦略上重要であると考えている場合はとても有効な手段になると言うことですね。高級以上のブランドポジションを考えている場合はマストだと思われます。
うちのブランドは品質以外に
1)顧客にとってそれを持つこと自体が喜びになる(高級感・レア感・ヒストリー・デザイン等)
2)店頭でのサービスが顧客満足度の大きな要素になる(接客・コミュニケーション・スタッフの雰囲気等)
3)店のデザイン含めそこでの体験すべてが顧客満足度の向上になる(空間デザイン・インテリア・照明・建物そのもの・他のお客様の雰囲気等)
そんなビジネスを展開するのであれば必ず直営店を持った方が良いと言えます。直営店を持つことをプランの中に加えるべきだと思います。
うちはエルメスの様な高級ブランドまでは望んでいないのでその必要はないだろうと思ってしまうことがあります。でもそれは間違いです。上記の1)-3)の中の一つでも競合との差別となりお客様が商品選定の理由としてくださると考えるならば直営店の意義はあります。高級ブランドだからではないのですね。
如何に直営店を維持しながらトータルビジネスをアップできるかを基本戦略とする必要があると言うことです。
そこに行くまでのステップとして卸しを上手く活用しながら資金繰りを含めたビジネスプランを作成するのが良いことになります。卸しの選定は最終的に手に入れたいブランドのイメージをしっかり持って選択していくことになります。そしていつの時かベストなタイミングでの卸し得意先との取り引きクローズを視野に入れてプランしておく必要があります。
余談かもわかりませんが、
主に物販・サービスの場合は上記で良いと思うのですが、飲食の場合は少し気を付けなければならない特徴があります。
飲食の場合は基本全てが直営店しかほぼ選択支がありません(お客様から見たら直営店と何ら変わりのないインショップもありますが、数ではやはり100%自社勝負だと言えます)。にもかかわらず、物販よりもはるかにリスクが高いのです。
何故かと言うと、物販は売り上げと店の広さは必ずしも比例しません。極端な話し商品を置くスペースさえあれば何とかなります。もっと極端な例で言うとサンプルを置くスペースさえあればオペレーションできます。 オープン当初と同じ場所、スペースで売り上げ10倍も決して不可能ではありません。しかし飲食は売り上げを高める=入店者数増=必要な席数増 と言う方程式が否応なしにかかわって来るのです。どうしても物販よりも家賃比率が高くなるのが大きなリスクです。
どんな業種であっても最低売り上げ、現実売り上げ、最高の売り上げをしっかり描くこと。それらを達成するのに必要なアクションと投資額の絵をしっかり描くことは基本中の基本ですが、飲食の場合は限界売り上げもしっかり計算して出店計画する必要がありそうですね。